少しずつではありますが、日差しが暖かく春を感じられる季節となりました。2月18日(土)、19日(日)に岡谷市ミーティングルーム(イルフプラザ2階)にて認知症の人とともに暮らすケア講座 岡谷教室が開催されました。今回は受講生が6名でしたので、講師は一人ひとりに熱くお年寄りの思いを語りかけました。
よく、お年寄りとの会話が続かないとの悩みを相談されますが、お年寄りとの会話の題材の一つに新聞の折り込みチラシを利用してみてはいかがでしょう。家庭の主婦であったお年寄りには魚や野菜の値段の高い、安いは共通の話題として話が弾むと思います。会話の中でお年寄りが買い物に行きたくなるように仕向けるのが本当の介護なのです。お世話をすることとは根本的に違います。しかし、多くの介護の現場で行われているのは、お年寄りの気持ちをないがしろにした職員の効率優先の仕事なのです。例えば、お年寄りが「お手洗いに行きたい」と要望しても、「今は忙しいから後で」と後回しにされているのが現状です。そのような中で、受講生のみなさんにはお年寄りに寄り添える人であってほしいと願い、この講座を12年前に開始しました。
人と出会ったら、良いところをみつけて褒めよう。そうすればお互いに気分がほぐれ、良好な関係を築けます。そのためのロールプレイ、「出会いを大切に」
自己紹介と相手の第一印象を用紙に記入して交換します。4人と交換し、印象を書いてもらうと自分の良さが再発見できます。他人から見た自分は「優しそう」「お母さんみたい」など様々です。
人を褒めるためには相手の持っている良さを見つけることから始めます。それが見つかったら、相手に「いい言葉」と「気の利いた言葉」で届けよう。その言葉が心に届けば、「生きてて良かった」「生きてていいんだ」という安心感に繋がります。写真は褒められて自然な笑顔の受講生
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お互いの座席の位置が近いので始めは緊張しますが、慣れてくるとこのような表情になります。 ロールプレイのあとはグループ内の緊張もほぐれ、和やかな雰囲気になりました。
介護とは相互のやりとりである。何気ないやりとりの中でお年寄りは相手がうわべだけ取り繕っている人か、本当に自分に寄り添ってくれる人なのかを見分けています。
寄り添うとは、相手の心に届くことを意味します。そのためにはお年寄りが発していることを注意深く「聴く」必要があります。「聴く」ためには十四の感覚を意識してはじめて人の話を聞けるのです。
認知症になった人はそれまでの人生とはまったく違った人生を歩み始めます。
認知症の人は、立ち止まることも、後ろをふり返ることもなく、ひたすら一方通行の道を歩き続けている。この旅は積み重ねてきた大切な人生を、ひとつ又ひとつと置き忘れていく旅です。この旅は必ず、人生の終着点に到達する。その終着点はどこなのか、いつなのかはだれも知らない。私たちは、その時刻表のない旅をとめることはできないし、変えることもできないのです。しかし、その時がくるまで一緒にいることはできるし、その人の最期を見届ける一人にもなれるのです。
認知症の人とともに暮らすケア講座も今年度は松本教室を残すのみとなりました。多くの方々からお申込みいただいておりますが、若干の余裕があります。お申込みはお早めに。